細菌学(さいきんがく)とは、
微生物全般の中で、特に病原性を持つ微生物に対して適用される学問(=病原微生物学)
細菌(真正細菌と古細菌を含む、原核生物)を対象に研究する学問(=狭義の細菌学)
細菌のうち古細菌を除いた、真正細菌を対象に研究する学問(真正細菌学)
細菌を含めた微生物全般(真菌、ウイルスなどを含む)を扱う学問(=微生物学)
病原微生物のうち、特に細菌に対して適用される学問(=病原細菌学)
以上のような学問分野を意味するものとして扱われる。日本の専門学校や大学などでは、医学・歯学・薬学・看護学・農学・理学などの分野で専門教科の一つとして扱われることが多い。2005年現在、これらの専門教育の課程では、しばしば上記のうち、1(病原微生物学)または5(病原細菌学)を指すことが多いが、研究の場では2(狭義の細菌学)または3(真正細菌学)の意味で扱われることも多い。
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細菌学という分野が指す領域が複数に亘っている理由は、その成立した過程による。
ロベルト・コッホによる炭疽菌の発見からはじまった、病原体としての細菌研究の黎明期から、日本人はその研究に従事・貢献して北里柴三郎や志賀潔などの細菌学者を輩出してきた。この関係から、日本国内においては細菌学という学問が病原体を扱う分野として成長を遂げてきた。その後、細菌以外の病原体であるウイルスの発見や、分類学の発達によって細菌と真菌の違いや真正細菌と古細菌の違いが明確化されたことなどから、これらを「細菌学」の対象として扱うことには齟齬が生じたため、より適した名称として「微生物学」が用いることが主流になり、今日に至っている。 しかしながら、古くから続いている学会(日本細菌学会)や、研究機関、書籍においては、未だに微生物学を表すもの(上記の4)として細菌学を用いているものも見られる。
また、歯学分野では、口腔細菌学という口腔領域の研究分野が存在し、多くの歯科医師、感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、理学・農学研究者が研究に従事している。(詳細は「口腔細菌学」へ)
細菌や微生物については、その病原体としての重要性とヒトとの関わりの深さから医学領域からの研究がもっとも進んでいる。このため、ヒトに対して病原性のあるものについての研究が数多く、古細菌など非病原性のものについての研究は比較的少ない。このことから細菌学全般としても、細菌や微生物の病原性に関するテーマが扱われることが多く、上述の1や5の意味で用いられることが多い。この傾向は、特に医学関連の専門教育の分野で顕著である。また細菌学に関連する事象として、感染症学全般や免疫学、遺伝学などについても触れられることがある。
しかしながら、細菌学には細菌や微生物を生態学的に扱う立場も含まれており、発酵や醸造など微生物の有効利用や、分子生物学的な研究・応用もまた、細菌学で扱うテーマの一つである。